2007年 07月 01日
Christina Aguilera来日公演@武道館 |
真のエンターテイナーとは、彼女のような人の事を言うのでしょう。
2007年6月20日水曜日、1人でChristina Aguileraの来日公演を見に行ってきた。
A席だったんだけど、むしろバックステージに近い。スクリーンとか後ろから見る感じだし。
今度からチケット代はケチるもんじゃないなぁと痛感。
まぁ、Aguileraは声だけでも聴く価値あるからそこはあまり問題じゃないのだが。
うちは基本的に「曲」が良いアーティストが好きなのだけど、Aguileraは初めてその「声」で
CDを買いたいと思ったアーティスト。
まぁ最近多いかわいい系アイドルかなぁと思っていたら、ある日DirrtyのPVを目撃。
その場でStrippedを買いに走った気がします。うろ覚えだけど。
ひたすら友達に薦めまくって、自分でもCDが溶けるほどよく聴いた。
「私はボトルの中のジニーなのよ~♪」と歌っていた時の面影は微塵もなく、
不実な男を罵倒し、世の中の全ての女性よ立ち上がれと叫ぶDirrtyな彼女。
「私をFighterにしてくれてありがとう、Mr.f__ker」
当時高校生の自分にはあまりに衝撃的で、一瞬で彼女の世界にのめり込んでしまった。
あれから数年が経って、Aguileraも私もそれぞれ成長したはず。
今回の最新アルバム、Back to Basicsは50年代、60年代の古き良きアメリカを彷彿とさせるコンセプトアルバム。やり場のない怒りをエナジーにしていたStrippedの頃と違って、
彼女は結婚も経験し、もう少しハッピーな自分も受け入れられるようになったんだろう。
今回のライブは全曲しっかり聞き込んで、自分なりにコンセプトも消化して臨んだつもり。
だって曲を知らないで行くのと知ってて行くのじゃ、天と地ほどの差があるじゃんね!
ライブは15分押しでスタート。Aguileraクラスのアーティストなら良心的かな。
Aguileraがスクリーン越しに踊っている映像が映し出され、それと同時にBack to BasicsのIntro。アルバム同様、比類なきChristina Aguileraの登場です!!というアナウンスの声から、ついにAguilera登場。割れんばかりの歓声。
武道館全体をぐわーっと丸ごと飲み込んじゃいそうな、あのパンチの聴いたうなり声から、
Ain't no other manへ。おお、最初に来るか!
真っ白なスーツに身を包み、モンロー張りの金髪をなびかせて歌う彼女を見てると、
まるで誰か60年代の歌手の煌びやかなステージにタイムスリップしたみたい。
次のBack in the dayでも同じように「Old SchoolのGrooveに逆戻りするの、時代が変わっても変わらないものがあるから」と歌う。Intro, Ain't~、そしてこのBack~の3曲で、完璧にこのステージの方向性を決定付けた。う、うまい。
確かここで衣装替えがあって、Understand。ライブで聴くとCDの何倍もいい。よく伸びる声が生かされてる。正直ニューアルバムの中ではやらないと思ってたから、少しびっくり。
次の曲はアレンジが相当変わってて最初分からなかったんだけど、1分くらい聞いてやっとCome on overだと気づく。デビューした時のわーい楽しい楽しい!みたいな感じは全くなくなって、より成熟した厚みのあるアレンジになっていた。You Rock!かっこいい!!
そのRockテイストのままSlow down babyへ。この曲もかなり強めの調子で歌っている。「ちょっと落ち着いてよ、Baby」という歌詞通り、アグレッシブな中にもブルージーさを感じた。
Aguileraって、歌声はものすごいドスの効いた声なのに、地声はすごくかわいい。
一生懸命「ミナサンニササゲマス!」と言ったあと、ニコッとはにかんだ笑顔。
これはかなりのオーディエンスのハートを射抜いちゃっただろう。
そして始まったのがStill dirrty。こういう曲を入れてくれた事で、Stripped時代の自分も忘れてないんだよ、というAguileraのメッセージが伝わってきて、嬉しい。衣装はいつの間にか露出の激しいボンテージ風の迷彩パンツになり、ほんとにStill dirrty!という感じ。
この曲の最後にCan't hold us downのフックが聞こえてきた。「誰もあたし達を抑えつけられやしない」 そう、この強いメッセージ!そうだそうだ、と拍手したくなる。
Aguileraは少しバックステージに引っ込んで、しばらく映像が続く。
I god troubleの映像はこれもまたモノクロ時代の銀幕の女優を思わせる。
かなりセクシーらしくて、一部のオーディエンスがぎゃあぎゃあ。
むう!正面から見たい!!
ニューアルバムの2曲目、Makes me wanna prayをノリノリで歌ったあと、今度は一転しっとりとOh motherへ。Strippedの時もI'm OKという曲で幼い頃のDV体験を歌っていたけど、今回のアルバムでもその痛みを素晴らしい曲に昇華させている。母親への愛、Back to Basicsツアーではこれも一つのコンセプトになってるみたいだ。
Back to BasicsのCDは2枚組みになっている。1枚目がStrippedを継承しつつこれからの方向性を予告するような曲が並んでいるのに対して、2枚目では本当に古き良き時代のショーを聴いているような気分になる。その2枚目のイントロとなるのがその名もEnter the circusだ。まるでアメリカの古いサーカスが始まる時の行進曲のよう。
そのCDの雰囲気を完璧に再現するように、ステージにはいつの間にか豪華なサーカスが出現。足長ピエロがいるかと思えば、空中ブランコやら火のついた松明を振り回す人やらドレスを来たロボットダンサーやら。ここの流れは本当にエンターテインメントなショーを見ている感じで、すごい演出!と心から思った。全体のライブの中でもここは印象的だったな。
サーカス団に混じってAguilera再び登場。自分もサーカスの団員みたいなフリフリの飾り(←かわいい!)を着けて、Welcomeを歌う。このEnter the circusに限った事じゃないけど、今回のライブでは曲の合間合間の演出、特にAguileraが着替えている間の観客を退屈させないような工夫がすばらしい。
これでCD同様、ライブは第二幕へ!という感じ。
毒々しいサイケ調の木馬が現れ、Aguileraの今までのイメージを100%覆す大飛躍作となったDirrtyへ。木馬に跨りドスの効いた声でシャウトする彼女、ほんっとにDirrtyだ。やっぱりうちはこういうAguileraも好きだなぁ。
いったん照明が落ち、ステージには縞々の服を来た酔っ払い水兵がひょこひょこと出てくる。
「ターザンとジェーンが蔓にぶら下がってた、ウォッカのボトルをちびちびやりながら~♪」
ここで既にほとんどのオーディエンスは次に何が来るかが分かってる。もちろん、私も。
Sweet、Sugar、Candyman!水兵服を着たAguileraが現れて最初のコーラスを歌い出すと、会場のボルテージは最高潮に!
CandymanなAguileraもDirrtyなAguileraも、どっちも彼女らしい。うーん、脱帽。
その雰囲気のまま(これはビデオだけど)Nasty naughty boy。またまた、直視できないほどセクシーなビデオになっているらしい。と言っても、うちはステージの後ろにいるから、もともと直視できないんですが(爆)
そして、うちがアルバムの中でかなり気に入っている曲、Hurtへ。2ndシングルにもなっているこの曲、聴いているだけで切ない。白銀のガウンを纏った彼女はステージをゆっくりと歩きながら、時に静かに、時に激しく歌う。会場全体が水を打ったように静まり返る中、彼女の叙情的な声だけが響く。これが世界の歌姫の実力か。
何だかしんみりしてしまった会場に火をつけるように、次の曲にはサプライズがあった。
聞こえてきたのは「Hey sister、Go sister、Soul sister、Flow sister ・・・」
!!!
こ、これは!まさかやると思わなかったから、心底びっくりして腰が抜けそうになりました(笑)
そう、映画「Moulin Rouge」の主題歌にもなった、Lady marmalade。
高校の時の文化祭で踊った思い入れのある曲だったから、めちゃくちゃ嬉しかったなぁ。
思えば、この頃からStrippedの時のAguileraの片鱗は見えていたのかもしれない。
何度もオーディエンスを嬉しい驚きに巻き込んでくれた彼女、最後は支えてくれた多くのファンにありがとう、という気持ちを伝えてくれた。Thank You (Dedication To Fans...)のビデオが流れて、うちとしては「いえいえとんでもないこちらこそ!」という感じ。笑
Aguileraがバックステージに引っ込んで、当然のように大きな拍手(=と言う名のアンコール)が。ここがファンの愛の見せ所だ、とばかりに全員が総立ちで手を叩き続ける。
歌姫Madonnaはアンコールで出てこなかったから、歌姫Aguileraももしやそうなのでは。。。と少し心配になりかけた頃、出てきた!!!良かったーー><
アンコールはStrippedからの代表曲、Beautifulでスタート。静かな中に底なしの強さと希望を感じる、全ての人への応援歌だ。何があっても私は美しい、そう言い切れる強さを身に着けた彼女は、もう誰が何と言おうと、本当に美しい。
今までにそれこそ汚いものをいくらでも見てきて、数限りない辛酸を舐めてきた事だろう。
だからこそ彼女の声には、積み重ねてきた経験が生み出した、穢れない美しさがある。
でもその境地に達するまでに彼女は本当にダークな経験をいくつもしていて、その代償は大きかったはず。だからこそ、彼女はアンコールの2曲目、ステージの最後にこの曲を選んだ。
Fighter。
彼女がこのライブで伝えたかった事は何か。それがこの1曲に凝縮されている。
渾身の力を振り絞って歌う彼女は、ほとばしる激情を抑えようとしない。周りに愛想笑いを振りまくアメリカンアイドルだった時も、怒りに身を任せて泣きわめいていた時も、古き良き時代のDIVAを演じている時も、常に彼女の芯にあるのは1人のFighterとしてのソウルであり、それが走り続ける彼女のバックボーンとなるものだ。
今までも、これからも。彼女は音楽を通して1人の戦士であり続ける。
その方向性が深く刻み付けられた、素晴らしいステージになった。
-Setlist-
1 Intro(Back to Basics)
2 Ain't No Other Man
3 Back in the Day
4 Understand
5 Come on Over
6 Slow Down Baby
7 Still Dirrty(・・・Can't hold us down)
8 I Got Trouble
9 Makes Me Wanna Pray
10 Oh Mother
11 Enter the Circus
12 Welcome
13 Dirrty
14 Candyman
15 Nasty Naughty Boy
16 Hurt
17 Lady Marmalade
18 Thank You (Dedication To Fans...)
(Encore)
19 Beautiful
20 Fighter
by sakura-tr
| 2007-07-01 02:01
| Music/Movies